<考え方>何に対してお金を支払っているのか

留学先ではどういったことを勉強しているのか?それを端的に示す例をご紹介したいと思います。

モノやサービスを購入するときその対価としてお金を支払います。それは至極当然のことですが、モノやサービスそのものだけに対してお金を支払っていると思っていると正しい意思決定ができないと思います。次の例題で考えてみましょう。


<例題 ~雑誌の定期購読~>
Aさんはよく駅の売店で日経ビジネスを購入します。ある日Aさんは思いました。
「毎週じゃないけどわりと頻繁に購入しているから、この際定期購読しようかなぁ…。でも毎週読むわけじゃないし…。どうしよう??」
Aさんの立場に立って、定期購読するかどうかを判断してください。とりあえずここでは1年契約をするかどうかのみ考えることにします。なお、1年契約では期間・額が小さいので値上げや金利上昇は考えないことにします。

参考:日経BP書店HPより
■ 年間購読料(税込み) 1年(50冊) 21,000円   ※ほかに3年契約・5年契約あり
■ 一部売価格(税込み) 600円


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普通の考え方だと、1冊あたりの値段を21000/50=420円と計算し、「バラで買った場合の値段と比較して180円安いけどそんなによく読むかなぁ~。」と考えるのではないでしょうか。雑誌の定期購読募集広告でもよく「1冊あたりわずか○円!」と宣伝していますよね。でもこれだとリンゴとオレンジを比べているようなものです。比較対象が同じ基準で並べられていません。ではどうすればいいのでしょうか。

ここで、年間購読料金と毎週売店で雑誌を1年間買い続けた場合の料金との比をとって考えることにしましょう。

21000/(600×50)=0.7

もしAさんが今まで70%の割合で雑誌を購入していた場合(約3回/月)、バラで購入するのとコストは同じです。したがってAさんが定期購読するかどうかを決めるに当たっては、過去どれくらいの割合で売店で買っていたかを思い出して判断すれば妥当な意思決定ができると思います。送られてきた雑誌がつまらなければ読まなければいいのです。全部読まなかったとしても、全部読む権利(オプション)をバラで買う場合の7割の価格で購入できると考えると良いと思います。

上記の定量的評価とは別に、定性的には次のような利点とリスクを考慮するがあります。

<利点>
①家/職場まで配達してくれる(購入する手間が省ける)
②買う/買わないの意思決定を毎回しなくて良い
(私のように小さいことでグダグダ悩む人間にとってこの効用は無視できません)
③複数年契約の場合、値上げのリスクを回避できる

<リスク>
①ある日突然編集長が変わって雑誌の路線が変わる
(面白くなるかもしれないし、つまらなくなるかもしれない)
②長期契約であればあるほど解約できないというリスクが重くのしかかる

上記にある利点の①②は定量的に評価しようと思えばできます。もしAさんの時給というものが定義できるならば、①②にかかる時間(年間)に時給をかければその分の費用(transaction cost)が節約できる、と考えることもできなくはないと思います。この時給が高い人は雑誌購入頻度が低くてもおそらく何も考えないで定期購読したほうが良いでしょう。

ここでは雑誌を1種類しか購読しないという前提で考えましたが、もしAさんが日経ビジネスのほかに週刊東洋経済やエコノミスト、ニューズウィークなどの選択肢の中からどの雑誌(複数)を購読しようかと検討する場合は、Aさんが雑誌を読むのに費やせる時間という要素を考慮する必要があるでしょう。そうすると問題はもっとややこしくなります。
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これは私が留学先で学んだ考え方の一例です。もちろん例題は全くのオリジナルですが、
①定量的(quantitative)評価と定性的(qualitative)評価をすること
②権利(オプション)を買うという考え方
③定性的評価では利点とリスクを洗い出すといったプロセス
④transaction costの概念
はまさに学校の授業で学んだことです。

このような考え方が身につけば、仕事だけではなく日々の生活にもうまく応用してより良い暮らしができるのではないか…そう信じ日々暮らしております。
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by coast_starlight | 2006-06-28 09:32 | 考え方


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