<旅行> グリーンランドで家庭訪問をする

さて今回のグリーンランド旅行についてですが、時系列で書いても面白くないので現地であった各種ツアー・イベントについての話を少しづつ書いていくことにします。というわけでまずは冒頭にあるように家庭訪問の話から。

a0079741_2342467.jpg今回私は西グリーンランド(カンガルーサックKangerlussuaq・イルリサットIlulissat)の2箇所に行ってきました。家庭訪問は、イルリサットの町で頼んだオプショナルツアーの一環です。訪れた家はおそらく普通のグリーンランド人家庭に近い、その中では少し裕福なほうの家だったのではないかと想像します。昼の3時からコーヒーとお菓子を頂きながら50代後半のおばさんと通訳兼ガイドのお姉さん(この2人がデンマーク語で話し、お姉さんが英語に訳してくれる)と3人で話をしていました。グリーンランドって地図でしか見たことがなく、ましてやこんなところで暮らしている人の生活ぶりなんて全く想像できなかった私は、おばさんを質問攻めにしてしまいました。以下、Q&Aの一部をご紹介します。

Q: グリーンランド人の恋愛・結婚について教えてください。
A: 日本で言うお見合いのようなものはなく、すべて自由恋愛に基づく結婚。出会いの場所は学校や職場・友人の紹介などいろいろ。先進国と同じく初婚年齢は上がっていて、子供の数も減っている(でも日本よりははるかに多いと思う)。自力で結婚相手を見つけられないと、結婚相手を紹介するプロが存在しないのである意味辛いかも。デンマーク人(白人)との結婚も多く、別にイヌイットの純血を保たなければならないというこだわりはあまりなさそう。離婚だって普通にある。でも人口が少ない分世間が狭いから誰かが離婚するとその話はすぐに広まる。

Q: グリーンランドの教育システムについて教えてください。
A: 義務教育は11年間。それより上の学校に行こうとするとグリーンランドには3箇所しか学校がなく、イルイサットに住んでいる場合親元を離れなければならない。大学はヌーク(首都)に1校あるが学べる専攻は限られている。デンマークで学ぶ場合も含め教育費は基本的に無料。

Q: デンマーク語とグリーンランド語ってだいぶ違うようですが、2つ学ぶのは大変ではないですか?
A: 1979年に独立自治権を得てからはデンマーク語を学ぶのは必須ではなくなくったが、ほとんど全員が学ぶ。将来の高等教育を受ける可能性や職業の選択肢を考えるとデンマーク語ができないと後で困るのが現状。加えて7年生(日本の中1)から英語も学ぶ(アイスランドと似ている)。家ではグリーンランド語を使うし、職場でも地元の人ばかりだとデンマーク語を使う機会はあまりない。でもヌークあたりだと若い人はグリーンランド人同士でもデンマーク語で話していたりする。確かに2つの言葉はかなり異なるので大変だがバイリンガル教育を受けたからといってグリーンランド人としてのアイデンティティーが失われるといったことはないと思う。それにデンマーク語ができないと得られる情報の量が日常生活の上でも限られてしまう。
※ようするに英語を中学から学び始めても話せない…なんてお気楽なことを言っている日本(日本語だけで十分生活が可能)とは違ってバイリンガルにならないと生活に本当に困る、ということで切羽詰まっている度が高いのだと思います。

Q: グリーンランド人の平均寿命は?
A: 70歳前後?若くで亡くなる人も多い。死亡原因では漁での事故・自殺・がん(なぜか若い人でがんにかかる人が多いらしい)。
※グリーンランドで自殺者が多いということはデンマーク人の中でも知られている話らしく、どうやら原因は真冬寒くて太陽が昇らない中で生きることへの希望を失う人が多いからだそうです。この話は別のデンマーク人からも聞きましたが、心が痛みました。

Q: 物価水準は?
A: 冬は食べ物が空輸(港が使えない)されるので、500mlのヨーグルトが65DKK(≒1300円)とかキュウリが35DKK(≒700円)とかとても高くなる。
※確かにスーパーで売っているものは全体的に高かったです。


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a0079741_2542736.jpg今回感じたのは、グリーンランド人が今の生活水準を維持できているのは良くも悪くもデンマークの庇護のおかげだということです。独立自治権があるとはいえ、防衛・外交はデンマークまかせだし、デンマークからは補助金を含めた経済的支援や専門性の高い人材の派遣(医者など)による支援もあります。訪れた先のおばさんはグリーンランドは先進国と同じ水準だとおっしゃっていましたが、デンマークに住む人が払う25%の付加価値税(日本でいう消費税のようなもの)を免除されているし、それでいてデンマークから10億ドルの補助金を毎年得ています。これは人口1人あたり200万円くらいの額です。デンマーク人のガイドのお姉さんや他に話したデンマーク人の立場から見れば、グリーンランド人を自分達が経済的に支援してあげているという気持ちがあるのだなという印象は否めませんでした。確かにグリーンランドの主な産業は漁業と観光で、そんなに高度な専門的人材が必要とされている職業を受け入れる土壌(雇用機会)はあまりなさそうです。イルリサットは人口5000人くらいの町ですが(写真はイルリサットの中心部の交差点)、他にも人口が100人もいないような集落で自給自足に近い生活を送っている人たちも多数います。今回私が頼んだこのツアーには数十ドル払いましたが、それだってこの家庭にとっては貴重な現金収入源なのだと思います。

ガイドのお姉さんに、「デンマークにとってグリーンランドを持っておくことの意味は?」という質問をしたところ、「天然資源・防衛(北緯80度近くに基地があり、天候などの情報収集のための重要な拠点となっている)上持っておく意味があると言えるかもしれないけど、歴史的背景が大きいかな。グリーンランド人は独立したがっていると思うけど、無理だと思う。」という答えが返ってきました。また、技術的に独立は可能かもしれませんが、独立しても国を支えていく人材や収入源に乏しいから、仮に独立したとしても今の生活水準を保つのは不可能でしょう。

他にもグリーンランド旅行で考えることはいっぱいありましたが、まとめるのに時間がかかるので今回はこの辺にしておきます。これも再度修正するかもしれませんがとりあえず掲載します。
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by coast_starlight | 2006-08-13 02:56 | 旅行


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