<話のネタ> 故・ナンシー関さんを想う

前述のハーバード松下村塾(ボーゲル塾)で格差問題担当となり、次回ミーティングでプレゼンをすることになりました。その準備のため関連する本をあれこれ読み始めたのですが…つかみどころがなくて問題設定がなかなか難しい。

私が個人的に興味があるのはニート・フリーター・ひきこもり問題なので、これらに関する本をまずは新書から読み始めました。その途中で私の頭にふと浮かんだのは故・ナンシー関さんの存在でした。消しゴム版画家として週刊朝日・週刊文春・クレアなどの雑誌に連載ページを持ち、また有名人に忌憚ない辛辣なコメントを浴びせることで有名だった彼女のことを覚えているでしょうか??(ナンシー関さんについては、こちらの動画をご覧下さい)

青森県出身のナンシー関さんは大学受験のため上京後、法政大学第二文学部に入学するのですが、彼女のホームページによるとあまり学校には通わずフリーター生活だったようです。その過程で消しゴム版画という独自の分野を確立し、有名人を消しゴム版画で彫ってそれにコメントをつけるというスタイルで雑誌に連載ページを持つようになり、彼女が有名になってからは自分の消しゴム版画を彫ってもらいたいという有名人が後を絶たなかったそうです。しかし彼女は2002年6月12日、虚血性心不全のため39歳の若さで帰らぬ人となりました。この日のショックは今でも覚えています。彼女の早すぎる死は大きな社会的損失だったと思います。テレビの世界に喝を入れる存在がなくなり、その後のテレビがつまらなくなったといったらそれはもう…。

ところでなぜニート・フリーター問題を考える途中でナンシー関さんのことが思い浮かんだのか?彼女が消しゴム版画家になった経緯にヒントがあります。彼女のホームページによると、

『一年間の予備校生活を経て、法政大学第二文学部日本文学科に入学。学校へはあまり行かず、1ヵ月ほどバイトをしては2ヶ月間暇をむさぼるというローテーションで自堕落な生活を満喫。二十歳を迎え、世はまさに80年代初頭のコピーライターブーム。友人に教えられて「広告学校」というコピー学校に通う。しかし、通ったからといってどうなるというような学校ではなく、3ヶ月ほどの受講期間が終わるとまた元の生活に戻る。そのうち暇のむさぼりかたにもバリエーションが見られるようになり、数々の暇つぶしのひとつとして消しゴムではんこを作ってみる。(中略)それがえのきどいちろう氏の目に触れ、当時氏の所属していた編集プロダクション「シュワッチ」に誘われプロの消しゴム版画家となる。しかし、当時22歳の(学校には行ってないながらも)学生、その上消しゴムを彫ることが生業になるなどとは誰も考えなかったため、みんなふざけ半分であった。本人もアルバイトぐらいにしか思っていなかったが。』
ナンシー関FACTORY・ボン研究所HPより)

とあります。私がこれを読んだとき「もし彼女の才能が誰にも見出されなかったら、日本にいるその他大勢のフリーター、ひょっとしたらニートで終わっていた可能性が高いのでは?」と思いました。えのきどいちろう氏に才能を見出され消しゴム版画家としてデビューした後、次第にプロフェッショナルとしての誇りを持ち、その地位を築き上げていったのだと思います。自宅にはテレビ4台・ビデオ6台があり、ほぼ全ての番組をチェックしていたそうです。テレビ放映には休みはありませんから、毎日続けようとすると相当な努力が必要だったと想像します。必ずしも有名人である必要はないと思いますが、自分にある可能性を肯定し、励まし、機会を与えてくれる人の存在がその人の人生をいかに変貌させるかということを感じました。私も幸いそのような人が何人かいたから、とりあえず今のところ何とかやってこられたのだと思います。このような人との出会いの有無が格差を生むのではないかなーという気が何となくします。また同様に大事なのが、自分にある可能性を否定し、失望させ、機会を与えない人と出会わないことかもしれません。そういう人が自分の身近にいればいるほど、余計に乗り越えなければならない壁が存在し、そこで神経をすり減らすうちに本来自分にある可能性を伸ばせたはずの時間と労力を浪費してしまうかもしれません。そうなってしまっては元も子もありません。考えようによってはそれも一種の経験かもしれませんが、そうは言っても限度があります。

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もし今彼女が生きていたら、どんな批評をしていたのでしょう…。彼女の死から4年経った現在、テレビを取巻く環境は大きな変貌を遂げました。私が直感的に思うのは、以前ほどテレビを観る人がいなくなっているのではないだろうかということ。ブロードバンド環境の整備が進みテレビを観る代わりにインターネットで動画を見たりする人が増えてしまうと、テレビだけをチェックしてコメントしていてもあまり社会の共感を得られなくなってしまうのではないかと思います。聡明なナンシーさんのことですから、また別の方法を編み出していたことでしょう。でも、まさかYouTubeにある動画をつぶさにチェックするわけにもいかないだろうし…。

あと、ニート・ひきこもりとの絡みで、私が大学生の時に週刊モーニングに連載されていた「薫の秘話」(松田洋子著)という超マイナーなマンガを思い出してしまいました。このマンガについては、ツボにはまるとものすごく面白いのですが(ギャグを理解するのがある意味ちょっと難しい)、あまり書きたくないなぁ…。興味ある人はネットで調べてみるかマンガ喫茶に行ってみてください。
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by coast_starlight | 2006-11-04 08:20 | 話のネタ


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