<日々の出来事> 「女性と公共政策プログラム」ディナーイベント

昨日、ある先生の家での夕食会に行ってきました。ただし夕食会といってもタダで食事させてもらえる訳ではありません。今回の題目は「ジェンダー問題に関する男性側の視点」で、「議員の選出にクオータ制(一定数が女性でなければならないと法律などで定めること)は有効か」「ケネディスクール内でジェンダー問題を感じるときはどんなときか」といった内容で1テーブル6人くらいで(その中に必ず1人は男性が入る)話し合いをし、40分くらい各テーブルで話し合った後全体に発表するというものでした。ケネディスクール内には公共政策分野におけるジェンダー問題に関する研究および啓発活動を主な目的とした「女性と公共政策プログラム」という組織があり、今回のイベントは不定期に企画されるイベントの一環でした。このようなイベントの開催案内は月に1~2回メールで来るのですが、昨年はあまり真面目にメールを見ていなかったというか、学生全体宛のメールは正直なところ面倒がって読み飛ばしていたこともあるのですが、今年は「食わず嫌いはいけない」と思い可能な限りチェックするようにしています。去年は「えーっ、ジェンダー問題!?」という感じで自分の専門とかなりかけ離れることもありあまり気にも留めていなかったのですが、いざ参加してみると(今回のイベント参加は3回目)「こんな素晴らしいイベントがあったなんて!」と自分の気持ちを鼓舞する絶好の機会であることを認識しました。

夕食会が始まった時点では、まだお互い知らない者同士だということもあり自己紹介や世間話を和気あいあいとしていたのですが、いざ先生の挨拶がありその後ディスカッションが始まってからというものの皆自分の意見をバンバン話し始めるのでついていくのが大変!ディスカッションの結果たどりつく共通認識はどちらかといえば月並みで、これといった妙案も結論もないなーというのが正直な感想なのですが、大事なのはこういう議論を実際にするということだと思います。そのプロセスおよび経験がその後の行動に少しでも変化をもたらすとすれば、それはそれで大きな意味のあることだと思います。私を含め技術系のバックグラウンドのある人は、一つに答えが定まらなかったり目に見える成果がないと、このような議論をしても意味がないと思ってしまうことが多いような気がします。しかし、今回の例だと大多数の女性の中にジェンダー問題に関心がある男性を含めて問題について一緒に考え認識を深める作業のような、単に人が集まって議論をする行為自体が生み出す目に見えない価値(intangible values)を評価する――今すぐに評価できなくても、現時点では評価を保留し少なくとも「意味のないことだ」と切り捨てない――ことが、長期的に世の中に変化をもたらすことにつながるのではないか、と自戒の念をこめて思いました。

a0079741_13582588.jpg仕事と家庭生活の両立で多くの女性が思い悩んでいるということはどこの国でも同じなんだなと思いました。しかしケネディスクールには夫と子供を残して単身ここに勉強しに来た人や、家族を連れてやってきた人は意外と多いような気がします。例えば台湾人の外交官である女性は「以前海外勤務になったとき夫が仕事を辞めてついてきてくれることになったが、彼の同僚や友人、私自身の親にも反対されたのが辛かった」と話していました。究極的には夫婦2人の問題なのに、なぜ周りにあれこれ言われなければいけないのか、言ったところで夫婦の決断が変わるわけでもない、仮に変わったとしても夫婦以外に誰も責任をとれないのに…と思いました。普段の学校生活では、それぞれの悩みはあるでしょうが、少なくとも表向きは後ろめたさを感じさせず堂々としている姿が印象的だと、そういう彼女達の姿を見ていつも思います。一旦来てしまった以上は後ろめたさを感じても何も得るものはない、と仮に頭ではわかっていても、実際にその通り潔く行動するのはさぞかし大変だろうと想像します。私は一人で留学していますが、もし自分が同じような立場だったら…と想像することはあります。幸か不幸か今まで結婚相手が見つからなかっただけと言ってしまえばそれまでなのですが…。

ちなみにこの先生の家は超がつくほどの豪邸!大使を務められたこともあるこの女性の先生は、急にテレビインタビューが入ったということで初めに挨拶されただけだったのですが、アンティーク調度品のあふれる応接室にはただ驚くばかり。普通の教室とは違う優雅な雰囲気で行った今回のディスカッションは非常に得るものが多かったと思います。

偶然にも先日世界経済フォーラムが男女格差指数を発表し、日本は全体では79位、先進7ヶ国中では最低ランクというニュースを見ました。女性が自分自身でその地位を向上させるには、女性として生まれてしまったことを嘆くのではなくそれを受け入れ肯定し、性別にとらわれず自分自身の能力を向上させるよう努めることが重要だとは思いますが、このニュースを見て何か複雑な気分になりました。
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by coast_starlight | 2006-11-22 14:04 | 日々の出来事


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