<話のネタ> ケネディスクール食堂経営事情

ケネディスクールにある食堂は、大手給食業者であるソデッソ(Sodexho)という会社によって運営されています。ここはフランス資本のグローバル企業で、以前日本にも進出していたことがあったそうです。学校や寮だけでなく、社員食堂や病院、軍の施設にある食堂の運営に幅広く携わっているそうです。何でもコソボやアフガニスタンに駐留する兵士達にも食事を提供しているらしい…。

KSG Citizen(校内新聞)によると、校内食堂の運営権に対する入札が来年6月に行われる予定で、その結果いかんによっては運営会社が変わる可能性があります。しかし今以上に良いサービスを安い値段で提供できる会社は他にないだろうからおそらくソデッソが再び落札するのではないかという予想です。これは必ずしもソデッソのサービスが良くて安いというわけではなく、他に変わっても悪くなるだけということともとれます。ケネディスクール内ではソデッソがカフェテリアの運営に加えてケータリングの独占権を得ており、学内で行われる全てのイベントの飲食物はソデッソに注文しなければならないという決まりがあります。これは学生数がロースクール・ビジネススクールなどハーバード内の別の大学院よりも比較的少なく寮も持たないため、一定量の受注をソデッソに対して保障するためです。他にも安全衛生面の問題に対する責任の所在を明確にさせるという目的もあるそうです(こういう考え方がケネディスクールらしいかも)。しかし外に頼む(市場価格?)よりも価格は数割増しになることが多く、特に学生団体からの評判はあまり良くありません。

一方で、ケネディスクールはソデッソに施設・メンテナンス関連費用として年間26万ドルの補助金を出しています。従って、規模の経済性をかなり追求しているこの会社でさえあまり儲かっていない状態で、他の会社が果たして応札に関心を示すのかどうかはかなり懐疑的と言えます。とはいえ会社の側からみるとハーバード大学が取引先に入っているという事実自体にも魅力があり、採算を度外視してまずは参入を目指す業者による応札がないとは言いきれません。

ところで、ハーバード大学の一部業務を請け負うに当たり、会社側からみてネックになるのが人件費だと思います。人件費を削減したくてもかなり制約があるからです。ソデッソに限らず、ハーバード大学構内で業務を請け負う業者の従業員に対しては、ハーバード大学が直接雇う従業員と同等あるいはそれ以上の待遇を保障しなければならないという決まりがあります。従って食堂の従業員には州の最低賃金よりも比較的高めの給与が支払われています。加えて食堂で働く人はヒスパニック系が多く、英語が上手くない人も多いです。実際従業員同士の会話はスペイン語がほとんどです。何と学校側は彼らに対する英会話レッスン費用(学費・テキスト代)を負担しており、レッスン受講中は勤務時間扱いとなりその間の給与も保障しているそうです。ソデッソ自身もラテン系雑誌で「ラテン人に優しい企業ベスト50社」に4年連続で選ばれているそうですが、ここまで待遇の良いところも珍しいかもしれません。また、仮に来年からの食堂経営権をソデッソ以外の業者が落札した場合、現在働いている人たちはその会社に雇われることになります。なぜなら新しい会社は今いる従業員に対して同じ待遇で職を提供しなければならないことになっているからです。

私も学校の食堂をほぼ毎日利用していますが、あまり食堂の経営に関しては考えたことがありませんでした。しかし今回ちょっと調べてみるといろいろ興味深いことがわかり、勉強になりました。
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by coast_starlight | 2006-12-09 13:48 | 話のネタ


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