<旅行> タイ/ソポンとの会話

新年あけましておめでとうございます。私の留学生活も残すところあと半年となりました。ということはこのブログもあと半年ということです。引き続きよろしくお願いします。自分への備忘録も兼ね、ソポンとどういうことを話したかを思い出しながら今年最初の日記を書くことにします。

「卒業してバンコクに戻ってから毎日何してるの?」

「今まで結構旅行をしたかな。カンボジアやラオス、中国にも行ったし。他はテレビゲームとか(彼はドラゴンクエストなどのRPGが大好きである)。先月は修行(前述…タイでは一般人向けに1ヶ月ほど僧になる体験的修行制度があるらしい)してきたこともあって、特に幸せとは何かといったことについてよく考えるんだ。修行の間、考えることをやめるというか、本当に無の境地に達することができて、そのせいか欲がなくなったような気がする。ねぇ、ちょっとやせたと思わない?修行中は一日一食だから体重が4キロ減ったし、おなかがへっこんでうれしい。不思議とその間は食欲がわかないというか、別にそれでも平気だったんだ。」

「あはは。そう言われるとそうかもしれない。確かに年を経るにつれて体重を維持するのが難しくなってくるよねー。私は『食べるために生きる』人だからそれはたぶんつらいと思う。」

「年齢を経ると基礎代謝量が減っていくから、食べる量を減らすしかないんだけどね。」

「でも日頃から運動して筋肉つけたら基礎代謝は上がるんじゃないかな。」

「それと修行の前後にあるマッサージに通ったんだけど、そのマッサージが結構効いて、気持ちいいだけでなく体が柔らかくなったんだ。手が地面につくようになったし。」

「私は30センチいくよ。」

「バレエとか何かやってたの?」

「いや、何もやっていない。生まれつき体が柔らかいみたい。」
※注:ワットポーのマッサージで体の筋を伸ばすストレッチ体操みたいなものがあったのですが、マッサージ師のお姉さんに驚かれてしまいました。

「そうそう、学校に行っていた頃はよく不眠で悩んでいたのだけど、頭が勝手に考え事を始めていたことがよくあって…。修行に行ったらそれを抑えることができるようになって最近はよく眠れるようになった。」

「頭が勝手に考え事を始めるというのは何かわかるような気がする。私の場合はどうも違う景色を見るといろいろ頭に考え事がわくようなの。この夏グリーンランドに旅行したとき、氷河や広大な自然を目の前にしてあれこれいろんなことを思いついてしんどかったよ。日が沈まないこともあったと思うけど。かっこよく言えばインスピレーションなんだろうけどそんなもんじゃなくて、本当に頭が痛かった。コントロールがきかないのもつらいところよね。」

「修行をしていたときに、ある瞬間突然無の境地に達することができたというか、本当にあらゆる考えから自由になるってこういうことなんだということがわかったんだ。それに欲望って何だろうって思ったりして…以前はこうなりたい、こういうことがしたい、というのがいろいろあったんだけど、今は別に貧乏で終わってもそれでいいかなと思ったりするんだ。でも今は修行が終わってあまり経っていないからこんなこと言っているだけであって、来年になったらまた違うこと考えているかもしれないけど。」

「そうねぇ、でもあまりに欲望がないとそれはそれで進歩がないということもあるだろうし、自分以外の人に対する責任を果たすという意味で自分がそうしたいと思っていなくても何かをしなければならないということだってあるだろうし…。ところでご家族はお元気?子供さんは学校にもう行ってるんでしょ?」

「奥さんは2ヶ月前から銀行で働き始めた。息子は小学校に入って、娘は幼稚園に行ってる。どちらもインターナショナルスクールに通わせているんだけど、娘のいる幼稚園は日本人の子供ばかりだよ。学校行事の時は日本人の親がたくさん来ていてビデオカメラ回してる。」

「タイには日本人そんなにたくさんいるんだ。」

「自動車メーカーの工場があったりして日本人が多く駐在しているんだ。工場はバンコクから離れているんだけどなぜか皆バンコクに住みたがるみたいだね。通勤に片道2時間かかっても、運転手つきの車で連れて行ってくれるし、満員電車に揺られるよりはいいんじゃないの?それにバンコクには日本のスーパーやお店もあって、日本人コミュニティができていて住みやすいんだと思うけど、それじゃ本当のタイがわからないような気がする。」

「皆が皆好きでタイに引っ越すわけではなく業務命令でタイに来ている訳だから、日本をそのまま持ち込んでいる感じね…う~ん、日本人としてちょっと複雑な気分かも。今私は留学という立場で海外で生活しているから周りを日本人に囲まれた生活をしているわけではないし、そういう意味では駐在なんかで海外に行くよりも現地に順応しやすい環境かもしれない。今その重要性を感じる。見えてくるものが全然違うもん。1年くらい経った頃からやっと生活に慣れてきた感じがするし、やっと物事を日本と比較するのをやめてそのまま受け入れることができつつあるような気がする。子供さんをインターナショナルスクールに通わせるのは、やっぱり英語をできるようにさせたいから?」

「僕はこの国に生まれてこの国に死にたいと思っているし、子供にもこの国で死んで欲しいとは思うけど、それより大事なのは何がしかの所属意識(sense of belonging)を持ってもらうことだと思う。タイ人としてタイ語はできてほしいけど、英語のほうがうまくなったとしてもそれでもいい。」

たぶんここで彼の言う所属意識とは、アイデンティティーに近いものだと思いました。タイ人であるということは自分の一部ではあるけれど、そういうことより自分が何者かということのほうが重要、自分に与えられた条件や環境に拘泥されてほしくない、ということだと解釈しました。


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ソポンとタイで久々に会ってから、もう一週間が経ちました。お互いを取り巻く環境はかなり異なりますが、たぶん人生の何に喜びを感じるか、という根本的な部分では考え方が似ているような気がします。だから抽象的な話をしても通じるのだと思います。自分はタイ人であるという意識はとても強いですが、それでいてアングロサクソン的な自己主張方法も心得ているし、自分の思いの強い分野(彼の専門分野だった規制緩和や民営化といった話)になると急に熱く語りだします。和魂洋才ならぬ、タイ魂洋才といったところでしょうか。

昼食代約1500バーツ(これはかなり高価!)は彼が払ってくれたのですが、彼曰く「タイは日本と比べて物価が安いから、僕のほうがアドバンテージがある」のだそうです。ようするに、彼が日本に来て私が案内する役に回った場合は私が払うということです。まあその時までにせいぜいあなたみたいに高給取りになっておきたいところだけど、たぶんムリだな。期待しないで待っていてね…心の中でそうつぶやきました。
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by coast_starlight | 2007-01-02 19:53 | 旅行


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