<日々の出来事> La Alianza Hispana 訪問

a0079741_1272854.jpgこの前の金曜日、以前ソーシャルマーケティングの先生の家で行われたパーティーで出会ったジョシアンというプエルトリコ人が働く団体を訪問しました。彼女の働く La Alianza Hispana はボストン南部の Roxbury にあります。ボストンのガイドブックには「地下鉄オレンジラインでチャイナタウンから南の地区は治安が良くないからあまり行かないほうがいい」とよく書いてありますが、Roxbury は思いっきりその地区に入っています。私はハーバードスクエアから出ているバスで行ったのですが、終点から歩いて20分くらいのところに訪問先はあったものの、急いでいたのと歩いていて「何かなぁ~」という気分になったのとで結局タクシーを拾ってしまいました。これくらいだったら普段の自分だったら何食わぬ顔で歩いていくのですが、その日はたまたまそこまで気力を高める(といえば大げさだが他に表現が見つからない)ことができなかったようです。昼間歩く分にはそうそう身の危険を感じることはないと思いますが、夜はちょっと一人では歩きたくないかもしれません。

a0079741_1275566.jpgこの団体は、ボストンおよびその近郊に住むラティーノの生活支援および地位向上を目的として設立された団体で、無料インターネットサービスや語学教育(スペイン語の読み書き+英語のクラス)、メンタルヘルスやドメスティックバイオレンスの問題に悩む家庭へのカウンセリングサービスなどを提供しています。そこで広報担当として働くジョシアンは、授業で習ったソーシャルマーケティングをまさに現場で実践している人です。ボストングローブやボストンヘラルドといった地元の新聞、およびスペイン語の地元紙などで団体がとりあげられた記事や、彼女自身が寄稿した記事などのスクラップを見せてくれました。



a0079741_1281970.jpg数多くの活動の中で私の興味を引いたのは語学教育です。建物の3階に教室があり、そこで夜間や休日に大人のための無料英語教室が開かれています。写真はそこの先生方と一緒に撮ったものです。移民としてラテンアメリカ各国からやってきた人たちの中には英語ができないだけでなくスペイン語の読み書きができない人もかなりいるそうで、英語を教えるだけでなく母国語の読み書きも並行して教えているのだそうです。廊下にはここで学ぶ人たちが書いたものが掲示されていましたが、作文もあればそれ以前に名前や住所、電話番号といった基本的な事柄が書かれたものまで掲示されていたのには驚きました。ジョシアン曰く「このような生活ですぐに使うことから教えないといけない」とのこと。また、ここで生徒として学んだ後ボランティアとして働いている女性とも話をしましたが、普段よく聞くスペイン語なまりの英語という感じでそれなりに流暢に話していると思いました。私に対してとてもフレンドリーな感じで話してくれたものの、そのレベルにまでたどり着くには大変な苦労を要したと思います。ここに通っているのは女性が多く、普段仕事や家事・子育てでなかなか自分のために時間を使うことができない人たちが多いとのこと。そのため通学を続けることも大変だと思います。

a0079741_1294991.jpg見学後近くのレストランで食事をごちそうしてくれました。ここで食べたモフォンゴという料理はプエルトリコではよく食べられる料理なのだそうですが私にとっては味も食感も初体験。プランティンという甘くないバナナを揚げた後つぶしてマッシュポテトのようにし、豚肉や鶏肉を混ぜてこねたものです。プランティン自体はあまり味がないので豚肉や鶏肉で味付けをするのですが、肉の風味にこの食感が合わさって非常においしい。食事をしながらいろいろ話をしました。





a0079741_12101698.jpgジョシアンはプエルトリコで大学院修士課程(コミュニケーション専攻)を終えた後「ノーム・チョムスキー(MITの言語学教授で、歯に衣着せぬ論客として世界的に有名)への憧れ」という理由でボストンにやってきたものの最初は希望する職が見つからず、彼女のアメリカでのキャリアはダンキンドーナツから始まったのだそうです。その間に今の職場に応募し採用され、かれこれ5年くらい働いているそうです。5人姉妹の長女として生まれ、実家はレストランなどを経営する商売一家なのだそうですが、親族の中で大学院に進学した人は彼女が初めてだったそうです。現在彼女の妹のうちの一人がプエルトリコの大学の博士課程に出願中なのだそうですが、博士課程に行ってもあまりお金にならない、リスクが高いなどという理由でなかなか家族の精神的サポートが得られず苦労していると言っていたのが印象的でした。確かに私自身が日本で大学院へ行くことを決めたときの経験からも、「行ってみないとわからない」としか言いようがないし行ってよかったかどうかなんて今でもよくわかりません。そのリスクおよび対処法・将来の人生計画を検討し家族にいちいち説明するのに神経を使わなければならないのは面倒ではありますが、後になって振り返ると検討しすぎてもしすぎるということはないと思うので是非頑張ってほしいと思いました。

a0079741_1211062.jpg帰りはジョシアンが家まで送ってくれたのですが、その前に Roxbury 周辺を車で案内してくれました。彼女によるとこの辺はラティーノの他にカーボベルデ人(英語では Cape Verdian)が多いそうです。カーボベルデはアフリカ大陸の西に浮かぶ小さな島国で人口も40万人前後。何でこの国の人がここボストンに多く移民してくるのかはよくわかりません。何か理由があるのだとは思いますが…分かり次第また書きます。ボストン市やMBTAの広報物はいくつかの言語に翻訳されていますが、カーボベルデ語もその一つ。ほぼポルトガル語と同じだと思いますが、市の広報物などにはわざわざ「カーボベルデ語」と書いてあります。それだけカーボベルデ人の数が多いということだと思います。ここに限らずアメリカの都市では1ブロック隔てると街の雰囲気ががらっと変わるということはよくあります。街の雰囲気というのは主にどの人種が住んでいるかに大きく左右されます。今まで見たことのないボストンの側面を見たような気がしました。
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by coast_starlight | 2007-03-01 00:19 | 日々の出来事


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