引越しを控えドタバタしている本人に代わって、久々に登場のシロクマさんによる留学生活のまとめをお送りします。今回はボストン生活の最後を締めくくるのにふさわしい特別ゲストとしてロブスターさんにもご登場頂き、二匹による対談形式でお送りしたいと思います。
----- シロクマ(以下S): 本人はこれで生まれて以来15回目、一人暮らしを始めてからは10回目の引越しらしいけど、5回目の引越し以来見てきて毎回思うのが何でいつも土壇場まで準備しないかということなんだよね。たぶんギリギリにならないと「いよいよだ」という気分が盛り上がらないのだと思うけど、毎回ドタバタしているのを見ていると「誰かがやってくれるだろう」という他力本願な気持ちが芽生えるのか、あるいは学習機能がないのかと思うよまったく。いや、今回はちょっとは余裕かましているかも。帰国一週間前からムービングセール始めた割には結構順調にモノが売れて行ってるんじゃない? ロブスター(以下L): そうかもね。毎日いろんな人が家に来ていて、結構雑談してたりもするよね。全然関係ない分野の専門家もいたりするし、意外なところでの人のつながりがわかったりするし面白いかも。この前なんか日本文学の専門家が来て、「源氏物語全部読んだんですか?私の母もいつか誰かが読むかと思って瀬戸内寂聴の「源氏物語」全巻買ったんですけどたぶんまだ誰も読んでいないんですよー」とかムダ話していたし。ほかにも偶然同郷の人がいて地元の話で盛り上がったりとか。私もケープコッド(マサチューセッツ東部のリゾート地)で買われて以来この家でのベッドルームで生活してきたけど、会社員生活に戻ったら毎朝起きられるのかがちょっと心配かもね。本人は大丈夫だと言ってるけど。最初の2週間くらいは時差ボケが辛いと思う。あぁ、私もゆううつ。 S: 別にキミはいつ寝起きしてもいいじゃん。会社行くわけじゃないし…って僕もだけど。ところでこの留学生活、得たものはいろいろあるみたいだしそれは記事にも書かれているけど、そんな中で彼女が克服できたものは何だと思う?僕はそのうちの一つはタクシー嫌いの克服じゃないかと思う。タクシーに関しては、以前はケンブリッジ市内とはいえちょっと離れたところに住んでいたということもあったけど、パーティーとかイベントがあっても必ず終電までには帰っていたもんね。理由は、タクシーに乗るのがイヤだからだって。1年目は片手で数えるくらいの回数しかタクシーに乗っていなかったもん。一人じゃ大雪とかよっぽどのことがないと乗らなかったし。空港に行くときもどれだけ荷物があっても地下鉄とバスを使っていたもんね。タクシーが嫌いなのは公共交通より高いというだけでなくて、車両が汚いのに加えて密閉された空間だからなんだって。閉所恐怖症なんだろうね、たぶん。 L: MBTAのバスや地下鉄の車内だってそんなにキレイじゃないし、同じ汚いのだったら公共交通使うわ、なんて言ってたよね。公共交通のほうが開放感あるというのはわかる。後は公共交通を扱う業界にいるという変なプライドもあるみたいよ。ここにいる間もアムトラック(アメリカの鉄道を運営している公社)の列車に乗りまくっていたもんね。 S: それが今では自分で手挙げて乗ってるし。こっちは初乗りが安いから(2.50ドルくらい)短距離でも乗りやすいし、概して日本よりも安いみたい…って僕はこの部屋から出たことないから乗ったことないけど。 L: 日本に帰ってからが心配かもね。東京のタクシーの初乗りは確か今660円だったっけ。それに近々値上がりするらしいし。日本のタクシー車両はこっちのものとは比べ物にならないほどキレイだから、快適さも違う。東京都内でも乗っちゃっているじゃないかな。山手線内とはいえ場所によってはビミョーにJRや地下鉄だと乗り継ぎが多くなるところもあるし。 S: 日本にいたらいたでそれに合わせて暮らせるようになるとは思うけど、ロブスターさんのいうことも一理あるかも。 L: 留学生活の途中で引越ししたのも変化としては大きかったんじゃない?2年目は学校やボストン市内に近いところに住んだからパーティーとかあれこれイベントにも行きやすかったみたいだし、やっぱり物理的に近いことは何事においてもメリットだということがよくわかったみたい。あとはハーバードシャトルが使える地域だと夜のイベントの帰りもタダで家の前まで送ってもらえるし、行動範囲も広がったみたいだね。電話を受けるおじさんで態度悪い人がいるのが玉にキズだけどね。シャトルが来る前にもらう電話も "Be outside!" ってぶっきらぼうに言う人と "Please make your way out." って割と低姿勢で言う人と二人いるんだよね(内輪ネタです…すいません)。あのシャトルにもう乗れないのかと思うとちょっと寂しい、とか言ってた。 S: 今回の引越しが今までの引越しと違うのは、そう簡単に再訪できないってことかも。大学入学以来の引越しは首都圏内だったから、住んでいたところに行こうと思えば行けたもんね。でも今回は違う。東京とボストンで1万キロ以上離れているし…東京での家探しもがんばってやってるよね。今はインターネットが使えるから物件情報をチェックしたり不動産屋とのやりとりもすぐにできる。今度の職場に20分くらいで通いたいから本郷三丁目あたりでなきゃイヤだとか言ってるけど、家賃が高いのが悩みみたい。不動産屋とやりとりするのに時差があるから真夜中まで起きていたりして、結構眠そう。 L: 前の家の家賃が安すぎたんだよ。2DKのマンションが礼金ゼロで7.5万円でしょ。会社から1時間かかったとはいえなかなかああいう物件はないよ。その代わり車がないと面白くないところではあったけどね。 S: でも今度は車も持たないらしいし、自転車でいろいろ行けそうだから生活コスト全体で見たらまあ何とかやっていけるんじゃない?問題は広さの条件を絶対譲らないことみたいだけど。 L: 一人暮らしが長くなってくると、私達みたいな「仲間」も増えてくるし、旅行先で得たモノとかあれこれ捨てられない持ち物も増えてくるみたいよ。ペンギン3匹、イモムシ10匹、ライオン1匹、ゾウ1匹、クマ2匹――シロクマさんを含めてだけど――ほかにもアクネ菌さんとかインフルエンザ菌さんもいらっしゃるらしいよ。私はまだお会いしたことことないけど…いや、会いたくないかな。居場所を確保してあげるのも大変みたい。あまり窮屈だとケンカが起こるだろうしね。 ----- S: 学業面ではとりあえず卒業できたから一応それなりに勉強していたんだろうけど、ダイニングテーブルに授業で読まなければならない本とか資料とかいっぱい広げて毎日その前に座って難解な文章に格闘していたよね。国際政治理論とか概念的で意味不明って悩んでいたもん。加えて彼女の問題は読んだ尻から内容を忘れてしまうことなんだ。だから何かを読んでいるときはそれを自分の経験とか知っていることに結び付けないと記憶に残らないらしく、自分の脳みその構造が他の人のものとかなり違うみたいって悩んでいたよ。ノートとるのもものすごく下手だし、何か書いてもその紙をどこかにやってしまうからまた探すのに時間かかってるし、どうしようもないよね(飼い主注:それでもハーバード大学を卒業することはできます)。結局は他の人が頭が良すぎるってことなんだと思う。でも他の人が思いつかないことたまに思いついて「おぉ、ひょっとして自分は天才じゃないか」とか思ってもその考えを人に説明するのに苦労していて、でも自分の中ではつじつまがあっているのに…って困っていたこともよくあったっけ。学校の授業だとそれを英語で説明しなければならないのも難しいところだしね。それに最初の学期は毎日頭が痛いって言っていて、たまにバファリン飲んだりしていたもんね。勉強していて物理的に頭が痛くなったのはこれが初めてだって。どうやらそこで自分の限界を感じたみたい。 L: それまでの専門と違う勉強を大学院レベルでするとなるとしんどいのかな。社会科学系の学問って理工系と違ってこれといった一意に定まる答えがあるわけじゃないし、何かフニャッとした結論しか出なくて理系出身者には気持ち悪いところもあるのかもしれない。でも起き上がりこぼし的なところがあるみたいだから、まあ大丈夫なんじゃない? S: っていうか僕が思うに彼女の問題はやる気にムラがかなりある点なんだ。このブログの更新頻度からもわかるように、やるときはすごくやるのだけど、やらないときは全然やらないというか…。 L: その通りだね。たぶん注意力が散漫だから、何か作業していてもすぐ他のことに気が向いたりしてなかなか一つのことに集中できないんだよ、あの人。少なくとも地道に研究に取り組むようなタイプじゃないね。幼稚園の頃も一人だけ他の教室にいる近所の子に会いに行くとか言って先生の言うこと完全に無視して遊びに行ったりしていたらしいし。もっとも、特にお受験するようなところでもないローカルな幼稚園なのに面接であまりに落ち着きが無くて合格できず補欠で入ったらしいし。いわゆるADHD(注意欠陥・多動性障害)ってやつに近いかも。とりあえず今は普通に社会生活しているから大丈夫なんだろうけど。でもそれを本人もわかっているからうまく複数の作業を同時に進めて終わらせることができているから今までなんとかなってきたのだと思うよ。プロクラスティネーションの問題は解決されていないみたいだけど。もっと集中力があれば良い成績とれたのに、ってよくぼやいていたもん。 S: でも学業よりも人付き合いで学んだことのほうが大きいって。アメリカ人と二人で数時間話し続けたり、パーティーでの場の空気を読んだりっていう経験はやっぱり留学生活ならではのものだよね。経済学や統計学といった授業はどこで学んでも内容はあまり変わらないかもしれないけど、違いは誰と学ぶかだよね。 L: 確かにこの前のパーティーにもいろんな人が来てた。先々週のパーティーは日本人ゼロだったよね。 S: 以前の記事にも書いていたけど、ああいうパーティーって日本だとあまりないよね。っていうか誘っても人が来ないだろうし。 L: 最後のほうはいろいろ「実験」していたよね。アメリカ人の時間感覚をはじめ気質というかメンタリティーにここにきてようやく慣れてきたって言ってるよ。ただ慣れすぎると日本に戻ってからが大変かもしれない。逆カルチャーショックはほかにも起こりそうな気がする。あぁ7月から一体どうなることやら…でももうここまできたらなるようにしかならないから、堂々と構えるしかないんだろうね。 S: 7月は働き始めるのと並行して引越しや生活の準備・買い物とかがあるし、結構ドタバタしそうだね。でも日本に戻ったら友人に会えるのが楽しみみたいよ。僕も楽しみ。でも京都の実家にいる仲間はいいけど、狭い倉庫で暮らしてきた仲間のことを思うと忍びなくて。2年近く日本を離れているとみんな状況もだいぶ変わっていると思う。パンダさんやキリンさん、カンガルー君はどうしてるかなぁ…。ロブスターさんも日本に帰ったら早く仲間に会いたいんじゃないの? L: えっ、そ、それは…。 ----- ロブスターさんは、仲間からのお誘いを心待ちにしているようです。
by coast_starlight
| 2007-06-28 07:17
| 私のはなし
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