2006年 07月 16日 ( 2 )

<考え方> 吾唯足るを知る

<例題 ~竜安寺観光~>
あなたは、米国現地法人から日本出張中の米国人の同僚から週末京都観光に付き合って欲しいと頼まれ、竜安寺にやってきました。石庭を見学した後、寺の裏にあるつくばい(手水石…ご存知でない方は下記をご覧ください)について、手元にあるガイドブックの文章を適宜訳しながらあなたは同僚にこう説明しました。

「この手水石にある文字は、右回りに「吾唯足るを知る」と読むことができます。たとえ富(wealth)がなくても現状に満足することを知っていれば心は満たされ幸せであり、現状に満足することを知らない人はたとえ富に恵まれても幸せではないという禅の教えが由来だそうです。転じて、名誉・地位・財産などはほどほどのところで満足することを知りなさい、と解釈されます。」

「現状に満足してしまっては、進歩がないではないか。」

どう返すか考えて下さい。


<参考> つくばい(竜安寺HP…「案」のところ(境内のご案内→境内図②)をご覧下さい。)


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自分で例題をつくっておきながら解答をつくるのに結構悩みました…私だったらこう答えると思います。

a0079741_9391868.jpga0079741_9385890.jpg「現状で満足する道を知れ、一旦そういう精神状態になれと言っているのであって、その先を目指してはいけないとは必ずしも言っていません。野心の赴くままに突き進む(左の図)のではなく一呼吸置いて考えろ、という意味だと私は解釈します。どんな分野でも上を目指そうとすると、自分のモチベーションにも関わりますから初めは単なる自己満足で突き進んで良いと思いますが(右の図①の状態)、②のレベルを目指そうとすると自分のためという考え方のみではいけないと思います。例えば「世のため人のため」という発想が必要なのでは、と考えます。それがなければ①の状態で満足して自分の心の充足を感じるにとどめておくべきなのかもしれません。①の状態で満足すべきか、あるいは①から②の状態に行くのかどうか、そこで一旦熟考するプロセスを踏むことにより、何かを成し遂げるにおいて肝要な精神のよりどころが固まるのだと思います。したがって、自己満足の部分については「足るを知れ」と言っているのではないでしょうか。」

自分で言うのも何ですが、上記の回答のポイントは、論理と自分の考えと推測を適当に織り交ぜて、歴史についてほとんど知識がないところをカバーしている(ごまかしている?)ところです。私も東京で働いていた頃外国人の方を京都へご案内したことが何度かありますが、自分の持っているおそらく最低限の教養レベルを以てその場のやりとりを考えるのに四苦八苦していました。大事なのは、的外れな回答をしないことです。的外れな回答をすると、信頼を失います。もし相手が歴史的背景や文化そのものに興味を持っているのであれば上記のような回答では相手は満足されないと思いますので、プロのガイドを雇うか「すいません、後で調べておきます」という必要があると思います。

実務経験が何年かある今でこそ多少の蓄積ができているかもしれませんが、ここに来てさらにも増して日本の歴史や文化について勉強しなおさなければ、と思います。一方で、高校レベル、いや中学レベルの歴史や文化の知識でも完璧に知っていてあらゆる話題につなげる論理的思考力と経験があればそんなに深い知識は必要がなくても何とかなるのではないか、とも思います。でも最近読んだ「国家の品格」(藤原正彦著)には、藤原教授がケンブリッジ大学での研究生活時代に出会ったある大教授にいきなり「夏目漱石の『こころ』の中と先生の自殺と、三島由紀夫の自殺とは何か関係があるのか」と質問された話や、ロンドン駐在の商社マンがお得意様の家に呼ばれて、縄文式土器と弥生式土器の違いや2度の元寇の違いを聞かれたという話が書いてありました。こういう質問をふることによって相手の教養レベルを試しているのだとか。恐るべし…。そういう人と私が将来会話する立場になるかどうかはわかりませんが、一般教養って大事なのかも、と今更ながら思います。

なお、このつくばいは、徳川光圀が寄進したものと言われています。そのことも触れようかと思っていろいろ調べたのですがうまく話をつなげることができませんでした。触れるとかえってボロが出るだろうなと思ってあえて触れなかった、というのもあります。(わからないことは自分からは触れない、ということも重要)


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ところで私が小学生の頃ハマったゲームのうちの一つに、マイティボンジャックというゲームがありました。このゲームの重要アイテムにマイティコイン(これをとることにより主人公のジャックがパワーアップし、宝箱を開けたり敵をコインに変えたりすることができる)というのがあるのですが、このマイティコインは9枚までしか持つことができません。10枚目をとってしまうと何と「You are greedy」という言葉とともに拷問部屋に送られてしまいます。拷問部屋に入ると、敵をよけながら50回ジャンプしなければ出ることができません。ちなみに、50回ジャンプするというのはゲームをやってみればわかりますが相当な難行です。

「吾唯足るを知る」というフレーズからふとマイティボンジャックを思い出しました。今から思えば何て日本的な発想なんだろうと思いませんか?せめて9枚以上は取っても増えないようにするくらいにすればいいのに、拷問部屋送りだなんて…。私が大好きだったスーパーマリオの1upキノコや、クルクルランドの旗(1匹増える)には上限がなかったのに…。マイティボンジャックは私も何度か泣かされたなかなか厳しいゲームでした。

あともう一つ思い出しましたが、このゲームでは終了後ゲーム偏差値なるものが出ます。絶対評価(スコア)だけでなく相対評価の偏差値も知ることができるだなんて、これもかなり日本的かも。

マイティボンジャックをこよなく愛する方のサイトを見つけました。
http://www1.odn.ne.jp/horus02/title.html
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by coast_starlight | 2006-07-16 09:46 | 考え方

<ハーバード探訪> イェンチン(燕京)図書館

ひょっとしたらハーバード大学を目指す人が見ているかもしれない、と思いハーバード大学の各種施設を写真入りで紹介するコーナーをつくることにしました。是非これを見て気持ちを高めてください!

a0079741_0175487.jpgハーバード大学で日本語の本が読みたくなったらイェンチン図書館に行きましょう。場所は、ハーバードスクエアの駅からヤード(学部の校舎)を通り抜けさらに北に歩き、デザインスクールの裏の通り(Divinity Ave.)に入ったところにあります。駅から徒歩7~8分くらいです。私は夏のインターンをケネディのある教授の下で行っており、リサーチの内容柄最近はここで時間を過ごすことが多いです。ここイェンチン図書館は、日本語だけでなく中国語や韓国語の書籍も充実しています。図書館にいる人たちもアジア系が多く、例えば白人学生と中国人スタッフが「コピー機の調子が悪いみたい」「ああ、これはねぇ…」といった会話(おそらく)を中国語で交わしていたりと、普段の生活とは違った空気が流れているような気がします。今図書館に行けば、日中韓三ヶ国語を操る謎の白人のお兄さんが受付でお相手してくれます。ここイェンチン図書館は、東アジア研究者の中では非常に有名な図書館だそうで、ハーバード以外のあらゆる大学から研究・見学のため訪れる学生も多いそうです。

この図書館は地下1階・地上3階建てで、日本語の本は1階(雑誌・新聞・書籍の一部)と2階(主な書籍)に所蔵されています。日本にあるその辺の図書館より所蔵数は多いと思います。手塚治虫マンガ(私も早速ブラックジャックを全巻読むことにし予約しました)もありますし、なかには(人口20万人くらいの市)○△市史といった、「誰がこんなもの読むんだろう」と思うような本も多くあります。学術目的に限らず単なる読み物として楽しめる本も多数揃っており、今までアマゾンなどで高いお金を払って日本から本を取り寄せていたのがあほらしく感じられることもあります。今私が行っているリサーチの関係で会社四季報のバックナンバーを取り寄せる必要があったのですが、1960年代のものから揃っていたのには驚きました。(ただし雑誌は船便で送られてくるものもあり、その場合2ヶ月ほど遅れて入ってきます)

なお、ここはハーバードの学生以外は、MITなど近隣の学生なら入れるみたいですが基本的には入れませんのであしからず。(でも観光で来て頼み込んでいる人はよく見かける)

ところでハーバードの学生の方に質問です。日本語書籍(主に雑誌・新聞)が多く所蔵されている図書館は、実はもう1つあるのですよ。しかもものすごくキレイで自習に超オススメ。どこかわかりますか…?
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by coast_starlight | 2006-07-16 00:38 | ハーバード探訪