2007年 02月 17日 ( 1 )

<日々の出来事> この一週間にやったこと

最近しょうもない記事ばっかり書いていることに気づいたので、ちょっと真面目にこの一週間何をしていたかを書きます。

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2月10日(土)~11日(日) Asia Business Conference @ハーバードビジネススクール

a0079741_12131140.jpg先週末、ハーバードビジネススクールでアジアビジネスカンファレンスというイベントが開かれていたので行ってきました。同級生がかなり前からスケジュールづくり・スピーカー招聘・会場設営などに尽力していただけあって、満足度の高い時間を過ごすことができました。スピーカーも「よく呼んだな」という人たちがズラリ。例えば日曜日午後には、カーライルグループの創業者であるDavid M. Rubenstein氏の講演がありました。講演の前、「良いディールのアイディアがあれば知らせてくれ。まだ手がけていないものであり、もしそれが実行されれば私のポケットマネーから25万ドルを払う。」という一言がありましたが、実際にディール提案をする人はどれだけいるのか…。講演で話されていたことで印象的だったのは、「我々は世の中の幸せに役に立つことをやっていると信じているが、そのことをうまく伝える努力が足りないかもしれない。」という一言。確かにプライベートエクイティの世界って、何をもって価値を生み出しているのかがわかる人にはわかるがわからない人にはわからない。単にわからないだけなら害はないのかもしれませんが、それだけでなく濡れ手で粟的な悪いイメージさえある。実際、ディールによってはそのようなものもあるかもしれませんが、それはディールを見つけてきた人の才覚および実行するまで持ちこたえた精神力・とったリスクなどが金銭的価値に変換された結果であって、納得はいかなくてもそれが資本主義のルールだから仕方がないというのが私の考えです。でもそれが誰をどう幸せにしているのかが私にはよくわからない。わかれるのならわかりたい…メーカーでエンジニアとしてものづくりの現場で働き、またその人たちをサポートする立場にいた身としては切実にそう思います。だから可能な限りこういう話を聞くようにしているのですが、話を聞いていると理屈で理解できるものじゃなくてマインドセットの問題かも、とも少し思いました。

a0079741_12142951.jpg…教室で行われた分科会では、学校の授業みたいにコールドコールもある分科会もあったりして、突然意見を求められて結構焦るひとときもありました。各セッションの後は、スピーカーにすかさず近寄り話しかける人たちでいっぱい!結構驚きなのが「名刺下さい」「仕事欲しいんですけど」と極めて単刀直入な話しかけ方。このカンファレンスを仕事探しの場と捉えて名刺をばら撒く学生も結構いました。でも、一見アグレッシブで「ひゃぁ~すごーい」と思ってしまうのですが、ヒット率はあまり高くなさそう。ただ、この方法でいくのなら数をこなさないと当たらない…と思うとこんなことを考えてしまいました。例えばシャケは約2000個の卵を産むけど、自分の生まれ故郷である川に戻って産卵できるまで生き延びるシャケは2~3匹しかいません。でもこの2~3匹は卵を2000個産まないと生き残らない。両生類・爬虫類もそれに近いかもしれませんが、鳥類・哺乳類になると段々子供を産む数が減ってきます。私の場合は後々自分に役立つ関係がつくれそうというある程度の確信がないとこのような一回限りの場では連絡先を渡すことはあまりしませんが、一旦良い関係ができそうというある程度の確信が持てればそれを温めて大切にしたいと思って相手と接します。これは彼らの「魚類的アプローチ」に対して私は「哺乳類的アプローチ」をとるタイプの人間なのかも…と思いました。

土曜日の夜は、チャールズホテルで行われたレセプションとディナーに出席し、おいしいワインと料理を堪能させていただきました。

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2月12日(月) 朴槿惠(パックネ)氏講演 @JFKフォーラム

a0079741_12201758.jpg韓国の第5代~第9代大統領朴正煕の長女で、保守派ハンナラ党前代表である朴槿惠氏がケネディスクールで講演をされました。朴槿惠氏は今年12月に行われる韓国の次期大統領選挙への出馬が有力視されており、当選すれば韓国初の女性大統領となります。前日、ハーバード大学の新学長にDrew G. Faust氏(女性初)が任命されたというプレスリリースを大学側が出しましたが、その次の日に朴槿惠氏の講演があったのは政治的意図が働いたのかも!?講演では両親が暗殺された事件の話や政界に入った背景、自分の運命を恨めしく思ったことがあるという個人的な話に加え、北朝鮮や米国との関係のあるべき姿についての話などがありました。フォーラムでは講演の後に質問タイムが設けられます。私も一つ質問してみました。

「この春休み、ケネディスクールの学生を日本と韓国に案内する旅行を日本人学生と韓国人学生が共催します。この試みは昨年から始まったのですが、ケネディスクールの学生の中では日韓のより良い将来のためにはお互いが協同しなければならないという認識があると思っています。そこで質問なのですが、日韓のより良い将来のために、日本政府および日本の人たちに対して何を期待しますか?」

朴槿惠氏のお答えは、完全にメモをとったわけではないのですが、ざっくり言うと「日本と韓国は地理的に隣同士という運命にあり、いい歴史も悪い歴史も共有してきた。日本には、過去に起こったことを認識して、その認識をもとに建設的な未来を共につくれるよう動いて欲しい。」という趣旨の話だったと記憶しています。ある程度予想はしていたのですが、私の質問の目的は日韓関係についての話を前向きに投げかけ、朴槿惠氏および聴衆に米韓関係だけではなくて日韓関係も忘れないで下さいということをアピールすることだったので、その目的は達成されたと思います。ここ数日、学校で今まで話したことのなかった韓国人学生から「君の質問は良かった」という声をかけられてうれしく思いました。


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2月15日(木) Otpor @ハーバードロースクール

2000年、旧ユーゴのミロシェビッチ政権崩壊で大きな役割を果たした学生運動組織 "Otpor" に関するドキュメンタリー上映会がありました。特定の政党・民族を支持せず、こぶしを挙げた絵のトレードマークと「彼は終わった(Gotov je)」というスローガンを通じて反ミロシェビッチのメッセージをマスメディアおよびステッカーやTシャツなどを通じて伝達することによる非暴力闘争を繰り広げました。この組織運動の成功の背景には、アメリカ国務省などミロシェビッチ政権を倒したかった外国からの資金援助があったほか、インターネットなどを通じた組織内・組織外におけるメッセージ配信体制がしっかりしていたこと、リーダー役が感情で人をあおることをせずあくまで冷静に自らの戦略を説明することに徹していたことなどが挙げられると思います。

ドキュメンタリーでは、つい3週間前に旅行したベオグラードの見覚えのある場所(滞在先から歩いて数分のところ!)に多くの学生や市民が集まりデモ行進をしている映像が流れるのを見て「ここでこんなことがおこっていたんだ…」という感情移入なく見ることができませんでした。このドキュメンタリーを旅行前にもし見ていたなら、ベオグラードの街をもっと時間をかけてじっくり見ていたかもしれません(また行ったりして)。同級生の中には、この運動に携わった人を直接知っている人もいるので、また話を聞いてみようと思います。


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2月16日(金) 韓流ポップカルチャー @ケネディスクール

ドラマ「チャングムの誓い」で中宗の正室役を演じていた朴正淑(パク・ジョンスク)氏、韓国人シンガーで「ピ」などのプロデュースも手がけているパク・チニョン氏(「韓国のつんく」として知られているらしい)などによる講演会が学校で行われました。月曜日の講演会と同様、講演会場には多くの韓国メディアが来ていて普段とは違った雰囲気でした。この講演会はJFKフォーラムではなく普通の授業が行われる教室であったからなおさらです。教室は多くの韓国人学生とその他の学生(ほとんどがアジア系)でいっぱいでした。20分前に教室に入ったものの前のほうの席はすでに埋まっておりだいぶ後ろのほうの席しかとれなかったのですが、立ち見客も大勢いました。

a0079741_1220504.jpgパク・ジョンスク氏の講演では、ジョセフ・ナイ教授が提唱された「ソフトパワー」に対して韓流ムーブメントは「オーガニックパワー」であるという話をされていました(カタカナで書くと何か食べ物みたいですが)。消費者側から発生し、特定の国や民族の利益を追求していない中立的なネットワークであり、ボトムアップ型である点がソフトパワーと根本的に異なるのだそうですが、前の日に見た "Otpor" の学生運動の流れと似ているところがあるかも、と思いました。このようなムーブメントのほうが結果として多くの人々を感情移入させた上で巻き込むことができるので、社会を動かす力としてはかなり大きなものになるのかもしれません。



a0079741_12211355.jpgパク・チニョン氏が講演で言われていたのは、「韓流」という名前でコンテンツを売る現段階から一歩進んで、必ずしも韓国人にこだわらず他の国のメンバーも入れて協同しシステム(レーベル・アーティストの養成ノウハウなど)を売る状態に将来持って行きたい、ということです。そのためには「韓流」という名前にはこだわらないほうがいいのかもしれないと言われていたのには少しビックリしました。彼はJYPエンターテイメントというプロダクション会社を経営しており、米国でも最近アーティスト養成組織を立ち上げたそうです。今まで米国進出を目指したアジアの芸能人がうまくいかなかった理由を研究してきたそうですが今後どうなるのでしょうか?楽しみです。


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他にも学校の授業(今学期の履修科目については別記事で書きます)に加え、春に行われるリーダーシップ関連セミナーの応募書類を書いたりして過ごしていました。今学期は学校の授業(単位となる)以外にも、今いる環境でのこの恵まれたリソースを有効活用すべく日々の情報収集を怠らず(学生全体宛に配信されるメールにちゃんと目を通すことが重要ということが最後の最後になってわかった…)アンテナを可能な限り高く張って過ごしたいと、最後の学期が始まってしばらく経った今気持ちを新たにしました(少し大げさかも)。
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by coast_starlight | 2007-02-17 12:25 | 日々の出来事