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<話のネタ> ウェスタン・ユニオン

<話のネタ> ウェスタン・ユニオン_a0079741_4591280.jpg世界各国市街地のいたるところには、黄色と黒の"Western Union"のロゴのついたお店があります。ウェスタン・ユニオンは国際送金サービスの世界最大手で、世界200カ国に約27万店の代理店ネットワークを持つ金融サービス会社です。国際送金だけでなく小切手の現金化や外国為替、クレジットカードやプリペイドカードなども取り扱っています。ウェスタン・ユニオンの歴史はとても古く、1800年代にまでさかのぼります。当時は電報を手がける会社としてスタートしたもの電信送金も扱うようになり、やがてそれが本業となり送金サービスのほうで知られるようになりました。昔の本業だった電報業務も昨年で撤退しています。ここ最近はオンライン送金などの分野にも進出しているようですが、今でもメインは国際送金や小切手の現金化のようです。ちなみにウェスタン・ユニオンを利用して国際送金するには、まず最寄のウェスタン・ユニオン送金取り扱い窓口に行き、送金したいお金を支払います。その後受取人が最寄のウェスタン・ユニオンの窓口に行ってお金を受け取ります。カバーしている国は非常に幅広く、アメリカ・イギリスといった場所だけでなく、フォークランド諸島やニジェール・モーリタニア、コソボやイラクにも送金できるというところがすごいです。送金できない国はイラン・ミャンマー・ソマリア・北朝鮮くらいでしょうか…。

ところで私が中学生の頃、ジャネット・ジャクソンのエスカペイド(Escapade)という歌が流行っていましたが、この歌のサビの部分の歌詞はこうなっています。

My mind's tired I've worked so hard all week
Cashed my check I'm ready to go
I promise you, I'll show you such a good time

アメリカでは給与は小切手で支払われることが多く、そのため基本的には銀行口座に入れないと現金化できません。しかし銀行口座を持っていない(持てない)人もかなりいます。銀行口座を開くためには公的な身分証明書が必要で、また外国人は場合によっては有効なビザを提示しなければならないなど手続きが面倒であるため、例えば不法滞在者は銀行口座を開けないと思います(抜け道はあるかもしれませんが…)。したがってこの歌の主人公はおそらく小切手を銀行口座に入れず、ウェスタン・ユニオンのようなお店で給与小切手を現金化したのだと思います。中学生の当時この歌を聴くたびに「小切手を現金化するってどういうこと?何で小切手を現金化しないと遊びにいけないんだろう?」と素朴な疑問に思っていました。私は当時アメリカに住んでおり、給料が小切手で支払われるというのは知っていましたが、普通は銀行口座に一旦入れるため、すぐには現金化されません。おそらくどこかで現金化してもらうんだろうけど、手数料を払ってまで小切手を現金化しないと遊ぶお金もないなんて、この歌の主人公は自転車操業(今風に言えばキャッシュフローがない)なんだな…と子供心に思っていました。その頃はウェスタン・ユニオンの存在も知らなかったため、大人になってから「あ、そういうことか」と納得がいったのですが、その頃は銀行口座を開けない人の存在は知りませんでした。ウェスタン・ユニオンがあるところは市街地か移民の多い地区がほとんどで、郊外の住宅地にはまずありません。ウェスタン・ユニオンに用事があるのは主に銀行口座を持たないが給与が小切手で支払われるので現金化する必要がある人と、本国に送金する必要のある移民の人達です。もちろんウェスタン・ユニオン自身は他にもあらゆるサービスを手広く行っていますが、個人が店舗に行く用事というと主にこの二つだと思います。留学していた頃、ハーバードスクエアの隣の駅のセントラルスクエアの駅近くにはウェスタン・ユニオンのロゴのついたお店(代理店)を数多く見かけました。

そんなわけでウェスタン・ユニオンは移民社会には非常に根深く関わる存在なのですが、移民から高い手数料を搾取しているという理由でウェスタン・ユニオンを使うなというボイコット運動も何度か起こっています。そういう経緯からかウェスタン・ユニオン社は社会貢献活動の一環として移民が多く来ている国の団体に支援するなどしています。


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ウェスタン・ユニオンは日本人には非常になじみが薄いと思います。海外の旅行先で両替したりトラベーラーズチェックを現金化するのにお世話になるくらい?ちなみに日本ではスルガ銀行が唯一ウェスタン・ユニオンの送金を扱っています。しかしアメリカやイギリスの側面について(特に移民社会について)知ろうと思うとウェスタン・ユニオンの存在抜きには知りえることはできないと思います。留学中からウェスタン・ユニオンについてはずっと書きたかったのですが、結構纏めるのが難しくてやっと今日記事とするに至りました。

<話のネタ> ウェスタン・ユニオン_a0079741_4595037.jpgロンドンにもウェスタン・ユニオンの窓口は街中至るところにあります。この黄色と黒のロゴを見ると「世界中いろんな人がいろんなところで暮らしているんだなー」とそこで暮らす人達に思いを馳せる自分がいます。
# by coast_starlight | 2008-05-12 05:00 | 話のネタ

<日々の出来事> 午後のティータイム

<日々の出来事> 午後のティータイム_a0079741_4131967.jpg最近仲間に加わったカメカメさんとシロクマさんが、イギリス人ぶって(?)午後のお茶会をしているようです。

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カメカメ(以下K): 飼い主もロンドン滞在が長くなってきたよね。だいぶここの生活にも慣れてきたみたいだけど、週末が来るたびにどこに出歩こうか悩んでいるみたい。別に出歩かないで部屋でボーッとする一日があってもいいじゃないかって僕なんかは思ってしまうけど、実際それで一日が終わってしまうと「あぁ、もったいないことをした」っていう気分になるみたいだね。確かに狭い部屋にいても気分がふさぎこんでくるし、ここでの滞在は限られているから、仕事で来ているとはいえそれ以外のものも見ないとという気持ちはわかる。

<日々の出来事> 午後のティータイム_a0079741_414126.jpgシロクマ(以下S): イースター休暇にはスコットランドに行っていたし、先月はランズエンド(飼い主注:ランズエンドとはイギリスの南西の端にある岬です…下の写真参照ください)とか行ってるから別に出歩いていないとは思わないんだけど…。僕も毎回連れて行かれるし、寝台列車にも乗り飽きたよ、まったく…。彼女の面白いところは、近場に関しては出不精なんだけどいざ旅行に行くとなると結構一人でも遠くに行ってしまうことかな。イギリスにはスコットランド方面とペンザンス(ランズエンドに行くとき通過する町)方面への寝台列車があるんだけど、いずれも乗ってしまったから。僕も一緒に乗ったけど、乗り心地は悪くなかったよ。もっとも最近だいぶ暖かくなってきたから週末に出歩くのも楽しくなってきたって言ってたけど…最近は暑いくらいかな。今日も気温は25度だったし。もっとも僕はもともとインドア派だし、外に出ると辛いからずっと部屋の中なんだけど…。でもこの部屋エアコンついていないんだよね。

<日々の出来事> 午後のティータイム_a0079741_415415.jpgK: 安宿だとエアコンついていないところ多いみたいだよ。そうそう、今日はハイドパーク周辺をうろついていたらしいけど、暑いからか肌の露出度が高い服を着ている人が多かったとか言ってたね。上半身裸の男性とか、体形を省みず水着みたいな服を着ている人とかいて、やっぱり日本と違う感じー。

S: たぶんこっちの人はあまり人に見られているっていう意識がないんだよ。でもそれに安心していると日本に戻ってから大変なことになるから、飼い主もその辺コントロールしないといけないんだろうけど。


K: そういえば、最近飼い主がヒマなときに数学の問題解いているよね。「大学への数学」の別冊を買ってロンドンに持ってきているし。一体どうしたんだろう?

S: 受験生時代数学が不得意だったからそのコンプレックスを克服したいんじゃないの?よくそれで理工系の大学に行ったものだと思うけど。

K: そっか、シロクマさんはもう15年以上も飼い主と一緒にいるんだもんね(飼い主注:シロクマさんとは高校生のときからの付き合いです)。でも別に大学受験の数学をやる必要はないんじゃない?

S: 大学受験レベルくらいが適当だからじゃない?この世の中には趣味で数学の問題を解く人もいるらしいよ。あと彼女の場合「これはこうなって、だからこうで…」という筋道立てて物事を考えるトレーニングをする必要性を感じたんじゃないかな。だってそういうの下手だもん。どっかで直感が邪魔して論理が飛躍してしまうんだよ。直感が働くのは必ずしも悪いことじゃないけど、場合によっては単に辛抱強くないだけで直感に頼ろうとする、つまり楽をしようとしてしまうんじゃないかな。

K: シロクマさん、冷静に分析しているね。


S: ところでさー、カメカメさんは野心ってある?

K: 例えば?

S: 地球制覇とか。

K: あるわけないじゃん、僕たちただのぬいぐるみじゃないか。できることには限りがある。でも、どうして?

S: 最近知ったんだ。この世の中には地球を守るとか高尚なことを考えているぬいぐるみが存在するらしいよ。

K: 僕も風のうわさには聞いたことあるけど…僕らも本当は彼らの爪の垢を煎じて飲むくらいの気持ちで、日々向上心を持って生きなければないけないのかな、こんな優雅にお茶している場合じゃなくて。

S: そうかもね。でも本当のところを言うと飼い主を守るだけでも大きな任務だから、それどころじゃないな。長引くロンドン生活で、さすがの飼い主も最近は人恋しくなっているみたいだから。いやぁ、大変なんだよ。毎日遊んでくれって。飼い主の相手をするのも楽じゃないよ…トホホ。


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シロクマさん、どうもありがとう!!
# by coast_starlight | 2008-05-12 04:20 | 日々の出来事

<話のネタ> 上昇志向

留学が終わり職場に戻ってから10ヶ月が経ちました。現在私は滞在先のロンドンにて英文の書類(主に契約書関係)を読んで内容を解説する資料を作成したり、現地の弁護士や銀行家とやりとりして必要な書類や図表をまとめるといった作業を主に行っています。ケネディスクールに留学中の授業で習った内容はその一部が直接役立っており、一応会社に対しては留学したことが生きていると言える仕事ができていると思ってほっとしています。しかし必要な周辺知識や扱う契約書にある概念が難解であるなどあらゆるところで壁にぶち当たり、「自分の実力って本当に大したことないな…何て自分は頭が悪いんだろう」とほぼ毎日夕方くらいになるとうだつの上がらない自分がイヤになって気分が暗くなり始めます。その後しばらく仕事をしてこれ以上気力が持たないと思ったところで帰宅することにし、地下鉄に乗っている間悶々と考え事をしたり携帯電話のゲームをやって気を紛らわしたりしているうちに少し回復して部屋に戻る…という日々を過ごしています。

同じ留学仲間を見ていると、本当のところはよくわかりませんが、多くの人は夜遅くまでの激務も厭わず向上心を持って仕事をしているような気がします。またその結果成果を上げ収入や地位も上がっているのではないかと思います。またその収入や地位が欲しいという上昇志向があるからがんばれるという側面もあると思います。なので、そういう考えの持ち方と実際の仕事の仕方次第で30代前半にもなると差もだいぶ出てくるような気がします。幸い今の職場での仕事内容には満足しているものの、もう少しは上昇志向を持ってがんばらないともしかしてこれから給料は大きくは上がらないのだろうか…と思うとちょっと暗い気分になります。でも私は今でも(そこまで上昇志向を持っているかどうかは別として)それなりにがんばっているつもりだし、これ以上働いて老化が早まるんだったら(実際職場の同年代の人を見回すと頭髪や肌の見た目にも差が出はじめています)私は肌ツヤのほうをとりたいかも、と思い少し微妙な気がします。就職してから8~10年くらい経つと、働き続けるということにおいては覚悟(諦め?)がついてもそれとは別に昇進にこだわるべきかどうかということも考え始めるようになると思います。

私は学生の頃から、体力と精神衛生の両方の面でもたないからあまりに労働時間が長い仕事には就きたくないという思いが強かったので、少なくとも電車のある時間には帰れてなおかつ自分のやりたい分野の仕事ができるところで働きたいというのが希望でした。実際は不定期な長時間労働あり、頻繁な海外との往復(+時差ぼけ)ありのきつい仕事であり、学生の頃の見通しが甘かったということもありますが「何で自分はこんなに仕事をしているのか」と感じることはよくあります。なのである程度の上昇志向がないと精神的に苦しいので多少は持っているつもりですが、あんまりガツガツするのも何だかなぁ、当たり前のことを当たり前にしたいだけなのに…という複雑な気分で毎日働いています。他の留学仲間はどう思っているのだろう??
# by coast_starlight | 2008-04-19 06:56 | 話のネタ

<話のネタ> ラブリーなシチュエーションとは

ロンドンで生活するようになりしばらくが経ち、イギリス英語にも少しづつ慣れてきました。アメリカ英語とは発音・イントネーション・言い回しにおいて異なる点が多く、初めのうちは相手が何を言っているのか分からずあたかも英語初心者みたいに何度も聞きなおしていました。さすがに2ヶ月近くが経ちだいぶ聞き取れるようになってきましたが、やはりアメリカにいるときよりも神経を使います。そんな中どうしても慣れない表現の一つにラブリー(lovely)があります。普通に考えると愛らしいとかいう意味なのでしょうが、こちらにいるとそういう思い込みがあると「!?」となり調子が狂います。例えば以下のようなシチュエーションが「ラブリー」なのだということが最近わかってきました。

<仕事の場で>
「次の会議はいつにしますか?私は火曜日の午後が空いていますが。」
「私も火曜の午後で構いません。」
「ラブリー。じゃあそうしましょう。」

<道を聞かれたとき>
「地下鉄の駅まではどのように行けばよいですか?」
「あの通りをまっすぐ行って、突き当たりを左に曲がれば駅ですよ。」
「ラブリー。どうもありがとう。」

辞書を引くと「結構な(fine)」という意味もあると書いてあり頭では理解できるのですが、特に男の人がラブリーを連発しているのを聞くとどうも「う~ん」と一人心の中でうなっている自分がいることに気づきます。またどういうシチュエーションがラブリーなのかを突き詰めて考えると、どうやら「自分にとって都合がいい」状況を指すようです。先に挙げた二つの例はいずれもそれに当てはまりますし、もう一人がラブリーと言っていたらどうもそれはしっくりきません。

このラブリーという表現は英国人でも使う人と使わない人がいます。女性は普通に使っていますが、男性だと使う人と使わない人はおそらく半々くらいかなぁ…。私の職場の英国人スタッフを例にとると、男性でも物腰が柔らかい感じの人は連発しているけど元軍人のスタッフは使っていないとか、やはり傾向はあるような気はします。ちなみに、日本人がラブリーを使うのは結構難しいと思います。使ってるシチュエーションが正しくても何となくイヤミったらしく聞こえるというか…。他に日本人がいればなおさらです。というわけで私はどうも恥ずかしい気がして使っていません。うまく使えるようになればアメリカ英語とイギリス英語の両刀使いへの道に一歩近づくのかもしれませんが、まだまだ道のりは遠いようです。
# by coast_starlight | 2008-04-15 07:23 | 話のネタ

<日々の出来事> ロンドンで医者に行く

ロンドンに来てから1ヶ月が過ぎました。実は2週間ほど前から帰宅後に喘息のような症状が出て息苦しいことがあり、症状が続くので医者に行くことにしました。本当はもっと早く行きたかったのですが、会社に保険申請の手続きなどを確認してもらったりしていて時間がかかってしまいました。幸い保険で全額カバーされるということがわかり、手続きの簡単さなどから海外旅行保険を扱っている日系の診療所に行くことにしました。そのときの診察の際の会話を少し再現してみますと…

「2週間くらい前から少し息がしづらいというか、ゼーゼーする感じがするんです。もともとアレルギー持ちですし、小さい頃喘息もありましたが、大人になってからは全然出ておらず、こういう症状が出るようになったのはロンドンに来てからです。」

「生活の中では何か気づいたことがありますか。」

「私の予想ですが、地下鉄車内の汚い空気が原因だと思います。ビクトリア線(Victoria Line)とピカデリー線(Piccadilly Line)に乗ると特に調子が悪くなるんです。他の線と比べてこの線の車両は狭いし(都営大江戸線より狭いかも)古いしで、おまけに空調設備がついていなくて汚い空気を送風機能でかき回しているだけなんです。例えば1973年に作られた車両が今でも走っているんです。」

おっといけない、急に話が違う方向に行ってしまった…。先生も「何でそんなこと知っているんだ」という表情をしている…。ビクトリア線とピカデリー線では、Metro Cammellという昔あった英国バーミンガムの車両工場でつくられたとっても古い車両が使われています。この会社はのちに GEC Alsthom (現Alstom)に買収され、ここの会社がつくった車両も多く走っています。しかしこの工場は2005年に閉鎖されてしまいました。

「新しい車両には空気をきれいにする機能ってついているんですか?」

「そうですね、車両の空調にはフィルターがついています。まあエアコンのフィルターみたいな感じです。なので少なくとも汚い空気をそのままかき回すようなことはないです。ロンドン地下鉄のトンネル内を走る車両の空調フィルターは相当汚いと思いますけど。それがついている車両だったら、例えばノーザン線(Northern Line)だったら同じ狭いタイプの車両でも調子が悪くなりませんし。」

診察に来たのに私は一体何を話しているんだ…と思いつつも、「ビクトリア線とピカデリー線に乗るのをやめて迂回通勤するようになったら症状はだいぶ楽になったので…」と自分自身をフォローしていました。実際ここ最近はサークル線(Circle Line)という、車両が大きめ+地上を走ることが多い路線を使って少し大回りして通勤しています。それまで使っていたビクトリア線を使うルートと比べて15分くらい余計にかかるのですが仕方ありません。

結局ハウスダストか何かに反応している可能性が高いもののほかの可能性も排除できないということで一通り検査をすることになりました。幸い胸部X線を見たところ特に問題はなく病気の可能性は低いということで安心しました。来週採血の結果がでるので、それで何に反応したのかがわかるかもしれません。それまでの間は今日処方された吸入薬で様子を見ることになりました。
# by coast_starlight | 2008-03-27 07:41 | 日々の出来事